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第8講 複雑な関係詞の用法

【制限用法・非制限用法】

関係詞の勉強で大きな壁の一つとなるのが関係詞の制限用法・非制限用法(継続用法)です。
これら2つの用法は和訳に関わる大切なポイントであり、全ての関係詞にこの2つのどちらかの用法があります。
制限用法の関係詞は、話し手がどの人や物について話題としているかを示したり、人や物の種類や性質を説明したりします。

以下の例文を見てみましょう。
The woman who lives next door is a doctor.
(隣に住んでいる女性は医者です。)

この例文では、who lives next doorがthe womanを修飾していますが、ここでのポイントは「さまざまな女性の中でどの女性か」を説明していることです。
「この人について話しています」と内容を絞って話すことが制限用法の特徴です。

一方で非制限用法は、話題となっている具体的な人や物についてさらに情報を追加します。

My brother Kei, who lives in Meguro, is a English teacher.
(私の兄弟のケイは目黒に住んでいて、英語の先生をしています。)

この例文では、話し手も聞き手も話題が「ケイ」であることを認識していて、ケイについて「渋谷に住んでいます」という情報を追加してより詳しく説明していることがわかります。
非制限用法は原則としてカンマ(,)を置いて表記します。
ですのでKeiとwhoの間にカンマが置かれます。
カンマを忘れると制限用法として理解されかねません。
もしそうなると「兄弟の中に渋谷に住んでいないケイもいる」とおかしな解釈が出来上がってしまうので、カンマの有無は欠かさずチェックしましょう。

また、訳の順番も考えてみましょう。
制限用法では、関係詞節は右から左へ戻るように訳します。

The woman who lives next door is a doctor.
先程の例文ですが、「女性←住んでいる←隣の部屋に」と右から左へ戻っていますね。
これに対して非制限用法は、右から左に(語順通りに)訳します。

My brother Masa, who lives in Shibuya, is a doctor.
「私の→兄は→目黒に住んでいて→英語の先生をしています」と制限用法とは訳の順番が真逆になっています。
制限用法と非制限用法はカンマの有無と訳の順番に気をつけるだけで大丈夫です。
非制限用法はあまり見かけませんが、英文中で見かけるときは設問に関わる事が多いです。
おろそかにせずどちらの用法も抑えておきましょう!

 

【複合関係詞】

複合関係詞とは、「関係詞+ever」の形で表される関係詞です。
複合関係師は名詞節か副詞節を作り、名詞節や副詞節では「〜するものは全て」などの訳を、譲歩の副詞節では「〜しようとも」などの訳を作ります。

複合関係代名詞、複合関係形容詞、複合関係副詞の3つがありますが、文法用語はあまり重要ではありません。
名詞節になるか副詞節になるかの判別をし、それぞれに対応した訳を覚えることが大切です。

〈whatever〉

・whatever「〜するものは何でも」(=anything that 〜)
→名詞節を作る
→Whatever is left is mine. = Anything that is left is mine.
「残っているものは何でも僕のものだ。」

・whatever+名詞「どんな名詞を(が)〜しようとも」(=no matter what)
→譲歩の副詞節を作る
→Whatever language you study, it takes much long time to master it.
「どんな言語を勉強しても、習得するのに非常に長い時間がかかる。」

〈whicheverについて〉
・whichever「〜するものはどれでも」
→名詞節を作る
→You can take whichever you like.
「好きなものはどれでも取っていいよ。」

・whichever+名詞「どちらの名詞を(が)〜しようとも」(=no matter which)
→譲歩の副詞節を作る
→Whichever choice you make, it doesn't matter to me.
「君がどちらの選択肢を選んでも私には関係ない。」

〈whoeverについて〉
・whoever「〜するものは誰でも」(=anyone who + V)
→名詞節を作る
→You may take whoever wants to go.
「行きたいと思っている人は誰でも連れて行って良い。」

・whoever「誰が〜しようとも」(=no matter who)
→譲歩の副詞節を作る
→Whoever says so, I don't believe it.=No matter who says so, I don't believe it.
「誰がそう言おうとも私は信じない。」

〈whomeverについて〉
・whomever + S + V「SがVするものは誰でも」
→名詞節を作る
→You may invite whomever you want to see.
「君が会いたいと思う人なら誰でも招待していいよ。」
・whomever + S + V「Sが誰をVしようとも」(=no matter whom + S + V)
→譲歩の副詞節を作る
→Whoever you recommend, I don't employ him.
「君が誰を推薦しようとも、私は彼を雇わない。」

〈whereverについて〉
・wherever + S + V「SがVする所はどこでも」
→名詞節を作る
→I will go wherever you want to go.
「君が行きたい所はどこでも行くよ。」

・wherever + S + V「SがどこへVしようとも」(=no matter where + S + V)
→譲歩の副詞節を作る
→Wherever you want to go, I will not go.
「君がどこへ行きたくても、私は行かないよ。」

〈wheneverについて〉
・whenever + S + V「SがVする時はいつでも」
→副詞節を作る
→Please call me whenever you need help.
「助けが必要な時はいつでも電話してください。」

・whenever + S + V「SがいつVしようとも」
→譲歩の副詞節を作る
→Whenever you call him, he doesn't answer the phone.(=no matter when + S + V)
「君がいつ彼に電話しようとも、彼は電話に出ないよ。」

〈howeverについて〉
・however + 形容詞[副詞] + S + V「Sがどんなに〜しようとも」(no matter how + 形容詞[副詞] + S + V)
→譲歩の副詞節を作る
→However hard you study, you won't pass the exam.
「どんなに一生懸命に勉強しても、君は試験に受からないよ。」

このように関係詞にeverがつくだけで意味や用法が変わります。
名詞節や副詞節の判別と訳を理解しましょう。