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第4講 受動態とは

受動態とはどういう表現?

受動態は「受け身」とも言われます。結局能動態も受動態も、同じ一つの場面を表しています。下の例文で言うと、今までは「~する人」(彼女)の立場からしか表現していなかっただけで、逆の行為や動作を受け取る人「~される人」(僕)の立場から見た時の表現が受動態というわけです。

能動態 受動態
「主語(S)の人が~する
表現が能動態です
例:彼女は 僕を 子供扱いする
「主語(S)の人が~される
表現が受動態です
例:僕は 彼女に 子ども扱いされる

自動詞(Vi)が受動態にできない理由がこれで分かりますか? 自動詞は行為の相手がいない、自分一人だけでできる行為なので、相手がいません。受動態は 他動詞(Vt)の文だけできるのです。「~する人」が主語(S)に、「~される人」は目的語(O)にあったっています。

受動態の形
受動態=be過去分詞形by~~に・・される

まずは受動態に気づけることが大事です。例えば、"He is loved~."とあれば、彼が好き(能動態)なのではなく、 彼が好かれている(受動態)ということが分かります。誰に?ということも表現する場合は、by~で表すわけです。

注意点を一つ。過去分詞をこのサイトでは詳しく説明していませんが、名前から「過去」と勘違いしないでください。過去分詞は過去を表す言葉ではないのです。単にそういう名前で呼ばれているだけで、上の例文でいくと、am(現在)、loved(過去分詞)から「時間は現在なの過去なの?」と迷わないこと。時間はbe動詞が表しています。つまり現在。

【演習】次の中から受動態を含んだ文を答えなさい。(書き換えは不要)

(1) She is loved by everyone.
(2) Jim didn't write this report.
(3) Does she wash the dishes?
(4) He found the question easy. [find - found - found]
(5) Were these pictures drawn by him?
(6) My uncle gave me this new tie. [“I”を主語にして](tie「ネクタイ」)
(7) You must not speak Japanese in this class.
(8) Where was the key found?
(9) The missing boy has not been found yet.
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(1) (5) (8) (9)

ヒント

(5)
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不規則変化の過去分詞は覚えていないと気づけません。
頻出のもの2~30語くらいは覚えておきましょう。

draw-drew-drawn
このように不規則に変化するものは、辞書に必ず明記されています。一度確認しておいてください。

規則変化の動詞play-played-playedなどは辞書でも明記は省略されています。動詞を調べた時に変化形が明記されていなければ、その過去形・過去分詞形は普通に"~ed"をつけたもの、ということです。

(8)
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受動態の文でby~が省略されたものをよく見かけますが、もちろん訳は「~される」です。(後述)
(9)
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"yet"のシグナルがあります(2講座時制参照)。
覚えてますか?現在完了形が混じって分かりにくくなっていますが、"have"過去分詞形と"br found"が入っています。

have been found
「まだ(=yet)見つかっていない」受動態の現在完了形です。

これもby~が省略されているので分かりにくくなっています。難しく見える問題も、こういう基本の知識が合わさっているだけなのです。復習をしっかりしていれば大丈夫。

受動態の書き換えで重要なことは?

ではいよいよ書き換え。内容が同じなので使う単語もほとんどそのまま、語順を逆にしてあげましょう。 「~する人(主語S)」からの表現を、今度は「~される人(目的語O)」の立場から表現するので、 「二者関係=主語と目的語」を把握することが重要です。受動態の基本的な形は大丈夫ですか?説明を読んでいるだけではやはり分かりにくいので、この単元は例文の説明にそって書き換えをやってみてください。

[能動態]
She treats me like a child.
彼女は私を子供のように扱う(=子供扱いする)」

主語(S)
She
~する人
述語(Vt)
treats
目的語(O)
me
~される人
その他修飾語
like a child.

[受動態]
I am treated like a child by her.
私は彼女に子供のように扱われる(=子ども扱いされる)」

元、目的語(O)
I
~される人
述語(Vt)
am treated
その他修飾語
like a child
元、主語(S)
by her
~する人

和訳でもう一度確認してみてください。受動態の書き換えは主語(S)・述語(Vt)・目的語(O)の3つの部分だけが関係し、その他の修飾語は全く表現が変わっていません。このように受動態の書き換えでは、「二者関係=主語と目的語」を把握することが重要です。そうすれば、述語の他動詞もその間にあるものがそれだとすぐ分かりますし。(by~は文末と決まっているわけではなく、文によって多少位置が前後しますが、これはこだわらなくても大丈夫です。)

受動態の書き換えでのポイント
書き換えで関係するのは 主語(S)・述語(Vt)・目的語(O)の3つの部分だけ
二者関係=主語(S)と目的語(O)を把握する
述語(Vt)は、主語(S)と目的語(O)の間

助動詞を含んだ文の受動態

受動態の書き換えでケアレスミスが続出するのは、実はbe動詞の人称(is/are)や時制(is/was)です。能動態 ⇔ 受動態の書き換えは内容が変わらないので、助動詞はそのまま使われます。そのため、必ず助動詞 be 過去分詞動詞の形になるわけです。be動詞が必ず原形になるので、問題としては逆に簡単になります。

ex. You must not forget the promise.

[能動態]
やはり3つの書き換え部分を確認

主語(S) 述語(Vt) 目的語(O)
You must not forget the promise.

[受動態]
助動詞が入っているだけなので述部に注目すると

must not forget ⇒ must not be forgotten ⇒ The promise must not be forgotten.
(by youは通例省略されます)

疑問文・否定文での受動態

疑問文や否定文の形になると分かりにくいという人は、まずそれらを無視して考えます。つまり肯定文として問題を解いてから、その後で疑問や否定の形に直してやります。手間がかかるように見えますが、応用問題になるほど、この基礎的な解法が役に立ちます。

ex. Does he love her? / He didn’t say such things.

[能動態]
疑問文であってもとにかく3つの書き換え部分を確認

その他の語句 主語(S) 述語(Vt) 目的語(O)
Does he love her?

[受動態]
まずは疑問文であることを無視して受動態に

⇒ She is loved by him?

あとは受動態になった文を疑問文に

⇒ Is she loved by him?

[能動態]
否定文であってもとにかく3つの書き換え部分を確認

主語(S) 述語(Vt) 目的語(O)
He didn't say such things.

[受動態]
まずは否定文の"not"を無視して受動態に

⇒ Such things were said by him.

あとは受動態になった文を否定文に

⇒ Such things weren’t said by him.

疑問詞を含んだ文の受動態

疑問詞を含んだ文の書き換えは、日本文の和訳を見ると意外なことが分かります。

ex. Where did he find the key?

[能動態]  どこで  彼は  その鍵を  見つけたのですか
[受動態]  どこで  その鍵は  彼に(よって) 見つけられたのですか

日本文を見ると、疑問詞は二者関係=主語と目的語に関係していません。つまりあってもなくても、書き換えには無関係なのです。疑問詞が加わることで少し難しく見えますが、前述の疑問文と全く変わらずに書き換えができます。

[能動態]
3つの書き換え部分(主語・述語・目的語)を確認
⇒ Where did he find the key?

その他の語句 主語(S) 述語(Vt) 目的語(O)
Where did he find the key?

[受動態]
疑問詞の部分は書き換えの3つの部分に無関係なので無視して受動態に
⇒ Where the key was found by him?

あとは疑問文に
⇒ Where was the key found by him?

なぜ疑問詞は二者関係になれないのでしょうか。例をあげると、「公園に」や「日曜日に」などは「出かける」につながる副詞です。つまり、場所や時を表す言葉は副詞になることが多く、疑問詞の「Where~?どこ」や「When~?いつ」の多くがこの副詞だからです。1講座の内容がここでつながってきますね。次の項目では、この例外の疑問詞Who/Whenを扱います。

【演習】主語(S)・述語(Vt)・目的語(O)に印をつけた上で受動態に書き換えなさい。

(1) Tom read this book.

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This book was read by Tom.
(印の解説は省略しています)
(2) Jim didn’t write this report.

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This report was not written by Jim.
(3) Does she wash the dishes?

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Are the dishes washed by her?
(4) He found the question easy.

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he question was found easy by him.
(5) My uncle gave me this new tie. [Iを主語にして](tie「 ネクタイ」)

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I was given this new tie by my uncle.
(6) You must not speak Japanese in this class.

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Japanese must not be spoken in this class.
(by youは省略 後述)

ヒント

(1)
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Tom read~. read(リード)- read(レッド)- read(レッド)の不規則変化に注意しましょう。もし現在形のreadなら3人称単数現在(3単現)のSが必要です。ついていないので、過去形のreadだと気づかなければいけません。
(6)
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must not 3講座助動詞の内容です。

【演習】[  ]内の指示に従って答えなさい。

(1) (    ) more trees cut down every year?
1. Are / 2. Is / 3. Do / 4. Did
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1 「毎年さらに多くの木が切り倒されているのですか」
[適語選択]
(2) Were these pictures drawn by him?

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He drew these pictures? ⇒ Did he draw these pictures?
[能動態に]
(3) Where was the key found by him?

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Where he found the key? ⇒ Where did he find the key?
[能動態に]
(4) She is loved by everyone. ⇒ Everyone love her.

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love ⇒ loves (Everyone loves her.)
[誤文訂正]
(5) The [has / missing boy / found / not / been / yet].

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The missing boy has not been found yet.
[語順整序]

ヒント

(1)
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まず、"cut - cut - cut"の不規則変化形は重要です。文中でこの単語が出てきた時は、現在形・過去形・過去分詞形のどの形で使われているか考えなければいけません。1講座以降で、文の主語や述語を 把握する習慣はついていますか?more trees+主語(S)+cut+述語(Vt)。このままだと「より多くの木が 切る」となり×。「切られる」の受動態でなければいけません。
(2)
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"draw - drew - drawn" 辞書で意味と不規則変化を確認してください。疑問文で分かりにくければ、肯定文の語順で考えて見ましょう。
these pictures were drawn by him?
(4)
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Everyoneが主語になった場合注意が必要です。「みんなが、誰もが」という意味なので複数なのですが、heやsheと同じ単数の扱いをし、3単現のSが必要になります。このように受動態以外の知識も少しずつ加わってきて、応用問題になっていくわけです。辞書参照。
(5)
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語順整序問題もやはり主語・述語から考えます。ここでは特徴があるのがhas。三人称の形をしているので、これにつながる主語は、He/Sheのような語が当たると分かります。答えを見てからで構わないので、2講座で習った否定のnotや、副詞のyetの入る位置を確認しておいてください。